創業当時、仕事に励む中で特に記憶に残っているエピソードがあります。
ある方から息子さんの住む東京で施設に入ることになり、
50年近くを過ごした東広島の家を手放したいとのご依頼を受けました。
３人の子どもさんを育てられ、亡くなったご主人と過ごした家の思い出をお話されるご依頼主様の姿は、
私の母や祖母と重なるようでした。
家を手放すにあたりご依頼主様が最も気にされていたのが、「お世話になった近所の方々にご迷惑をかけず、喜んでいただけるようにして欲しい」ということです。

良いご縁に恵まれ、土地は20代のご家族２組へと無事に引き継がれました。
ご依頼主様が家を手放した後のことを気にされていたことがずっと私の心に残っており、新しく建った家とそこに住むご家族の写真を撮り、お手紙を添えて息子さんへ送ることにしました。
すぐに息子さんから
「母がとても安心していました。自分達が若い頃にここで生活を始めたことを思い出して喜んでいます」と感謝のお電話をいただきました。

その時私は、不動産はそれぞれの家族のストーリーの基盤であると確信したのです。

大切な基盤を納得できる形で引き継ぐことが出来た時、過去を肯定的に捉え、自分の人生を豊かに感じられます。不動産が家族のストーリーの基盤であるならば、私達の仕事はお客様に自らの人生を豊かだと感じていただける素晴らしい仕事です。

私は不動産業を通じて、仲間と共に、地域全体をそして日本全体を豊かな人生で溢れるものにしていこうという志を立てました。これからもっと多くのお客様と喜びを分かち合いたいと思っています。