不動産コラム Column

【税理士監修】不動産を法人で購入するメリットとデメリットとは?個人との違いも解説  

法人?個人?不動産購入の違いとは

「不動産を購入したいけれど、個人で買うべき? それとも法人(会社)を作って買うべき?」 こうしたご相談をいただくことがあります。
どのように判断してよいのか、迷う方が多いようです。
今回は、「法人購入」と「個人購入」の違いについて、株式会社不動産本舗の顧問税理士である、中国税理士会西条支部所属 髙盛大輔さんにお話をお伺いいたしました。

髙盛大輔税理士
※当記事は2026年9月現在の情報を記載しております。

法人で不動産を購入するということ

会社名義で不動産を所有することになります。この場合、不動産から得られる家賃収入などの利益(所得)には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」などがかかります。
実効税率は30%前後にとどまるケースが一般的です。さらに、不動産以外の「他の事業の所得」と赤字・黒字を相殺(損益通算)できるため、会社全体の柔軟な節税につながります。

個人で不動産を購入するということ

個人名義で不動産を所有する場合、家賃収入は「不動産所得」になり、「所得税」と「住民税」の対象になります。
個人の所得税は、所得が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度(住民税と合わせて最大約55%)」のため、利益や年収が大きい方ほど税負担が重くなりやすい特徴があります。

不動産の購入を法人で行うメリットとは

法人化して不動産を購入することには、税金や資金面でいくつかのメリットがあります。主なメリットを紹介します。

幅広く経費計上ができる

物件にかかる管理費、修繕積立金、各種手数料、損害保険料に加えて、経営者本人の給与・賞与・退職金や出張時の手当(日当)なども正当な事業経費として計上できます。

相続税・贈与税の負担軽減につながる

法人名義で所有していれば、不動産そのものの持ち主は「会社」です。
そのため、相続の対象は「会社の株式(自社株)」となります。
不動産そのものに相続税はかかりません。生前に計画的な贈与や株価対策を行うことで、大切なご家族へ渡す際の相続税・贈与税の負担を大幅に抑えられます。

金融機関からの信用力が増す

金融機関は個人よりも法人組織の事業性を高く評価しやすい傾向があります。
法人の決算実績を積み重ねることで、融資のハードルが下がったり、借入できる融資枠が拡大されたりします。

損益通算できる期間が長くなる

修繕などで赤字が出た場合、将来の黒字と相殺できる「繰越控除」の期間は、個人の青色申告では最長3年間ですが、法人は最長10年間認められています。

福利厚生につながる

所有物件を役員や従業員の社宅として活用すると、会社側は家賃補助を経費にでき、住む側も自己負担を減らせます。

不動産の購入を法人で行うデメリットとは

「会社を作って買った方が得ですよ」という言葉だけを聞いて進めてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。法人で購入するメリットがありますが、次のような注意点やコストが必ず発生します。

法人の設立には初期費用がかかる

法人を立ち上げるには、定款用印紙代や登録免許税、公証人手数料など、約10万〜25万円前後の初期費用がかかります。また、手続きが複雑なため、司法書士や行政書士などの専門家に依頼する場合は、その費用も必要です。
不動産の名義を法人に移す場合、税務上適正であるかどうかを判断するため税理士への相談も必要です。

また、利益が出ていない赤字の年でも、毎年約7万円の「法人住民税の均等割」という維持費が必ず発生します。

会計処理や税務申告が複雑化する

役員1名でも、原則として社会保険への加入が義務付けられ、その負担が発生します。
帳簿づけや年1回の決算申告はとても複雑で、自分だけで行うのは難しいものです。税理士に依頼する場合は、毎月の顧問料や決算費用などの維持コストがかかり続けます。

長期保有による軽減措置がない

個人所有の場合、売却益に対する税金は2年未満だと40%ですが、保有期間が5年を超えて売却すると税率が約20%(長期譲渡所得)に軽減されます。
法人所有の場合は何年保有しても税率が変わることなく、通常の法人税率(約30%前後)がかかります。長期間保有して利益を出したいなら、個人の方が有利な場合があります。

個人向けの住宅ローンは活用できない

低金利な個人向け住宅ローンや住宅ローン控除は、法人での不動産購入には利用できません。
事業用の融資や不動産投資ローンを利用することになるため、個人向け住宅ローンに比べて高金利かつ厳しい審査基準が適用され、自己資金(頭金)もより多く求められます。

法人としての不動産購入が検討されるタイミング

「会社を作って買った方がいいのかな? それとも個人のままがいいのかな」と分からないことや迷うことがたくさんあると思います。
正解は一人ひとり異なりますが、判断の目安となる4つのタイミングを紹介します。

課税所得が900万円を超える・超えそうなとき

個人の課税所得が900万円を超えると、税率(所得税+住民税)が43%まで跳ね上がります。
法人税の実効税率(約30%前後)を上回るため、法人化した方が手元に多くのお金を残せます。

個人資産において不動産の割合が高いとき

相続税は現金納付が原則のため、不動産ばかりだと相続人が納税資金を用意できないリスクがあります。
法人化して家賃収入を家族へ分散して納税資金を貯めたり、資産を株式化して引き継いだりすることで、有効な相続税対策につながります。

事業としての不動産投資を拡大したいとき

法人として決算実績を積むことで、金融機関からの信用が高まり融資枠が広がります。
また、複数物件を持っても経費処理が一目で分かりやすくなり、将来の事業承継もスムーズに行えます。

被相続人の死亡から3年10ヶ月以内であるとき

相続から3年10ヶ月以内に売却する場合、支払った相続税の一部を経費にできる「取得費加算の特例」が使え、個人の譲渡税を抑えることができます。
この期限内であれば、法人化せず個人で売却した方が有利なケースがあります。

法人が不動産を購入するときに知っておくべきこと

会社名義で不動産を購入して活用していく際には、事前に知っておくべき大切なルールがいくつかあります。
ここでは、事前に必ず押さえておくべきポイントを紹介します。

個人事業からの法人成りは債務の引き継ぎが必要である

個人名義の収益物件を会社へ移す(法人成りする)場合、ローンの名義は自動的には変わらないため、銀行との「債務引受」の手続きが必要になります。
個人の返済義務を免除する免責的債務引受債、または会社も連帯して負う併存的債務引受です。名義変更には再度、登記費用や税金もかかります。

建物のみを法人名義にすることもできる

「土地は自分の名義のまま、建物だけを会社名義にする(会社に土地を貸す)」という方法です。土地を買い替えるわけではないため、最初の税金や登記の手数料を抑えながら、家賃収入を会社に集めることができます。
ただし、税務署に「土地の無償返還の届出」という書類を提出しておかないと、余計な税金が課されてしまうリスクがあります。

反復継続的な売買には注意が必要である

「安く買って高く売る」という短期転売を何度も繰り返すと不動産業とみなされ、宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要になり、法律違反になるリスクがあります。「自社の資産として長期保有・活用する」ことと、「転売を事業として行うこと」の違いをしっかり理解しておきましょう。

【東広島のケース】法人で不動産を購入する際のポイント

「会社で不動産を買う」となると、税金や難しい法律のことばかりに目が行きがちですが、実は一番大切なのは「この東広島という街のリアルな特徴を知っているかどうか」です。
お客様の事業とこれからの人生をより豊かにするために、東広島ならではの不動産選びのポイントを一緒に押さえていきましょう。

広い・安いだけで選ばない

「広くて安いから」という理由だけで飛びつくのは危険です。
用途地域などの法律制限を知らずに購入してしまうと、希望する建物を建てられないリスクがあります。
たとえば、「広い土地を安く買えたのに、そこが第一種低層住居専用地域だったため、予定していた工場や特定の店舗・事務所、倉庫が建てられなかった」といったトラブルです。
また、上下水道の引き込みや道路の整備に、後から数千万円単位の思いがけない費用がかかることもあります。

東広島のエリアによって求められる役割は異なる

東広島市は、エリアごとに街の表情や人の流れ、求められる需要が大きく異なります。
事業目的に応じて、選ぶべきエリアの正解は全く変わってきます。

プロのアドバイスを活用する

不動産会社を間に挟んで仲介してもらうことで、用途地域の法的な確認、隠れた土地のリスク(境界トラブル・越境・埋設物など)、適正な相場価格の精査、売主との条件交渉などを安全に進めることができます。

東広島で法人が不動産購入をするのなら不動産本舗にご相談を

不動産の購入は、お客様のこれからの事業や暮らし、そして人生をより豊かにしていくための大切なステップです。
私たち不動産本舗のスタッフは、東広島市で生まれ育ち、皆様と同じ街で日々の暮らしを営む地域住民の一人です。
だからこそ、お客様を急かすような営業や、都合の良いことだけを並べるような対応は絶対にしません。
税理士などの専門家とも連携しながら、メリットはもちろん、あえてデメリットやリスクもすべてオープンにお話しします。お客様と同じ目線に立って、一番安心できる道を一緒に考えていきます。

また、不動産本舗は、創業以来、飲食業、物販業、製造業、倉庫業、運送業、建設業などの法人様の新規出店から大規模土地開発まで、多くの案件に携わってきました。そのノウハウを活かし、法人様の信頼できるパートナーとして、これからも豊かなまちづくりに貢献していきたいと思っております。

まとめ

不動産を法人で購入することには、税率の抑制、減価償却の柔軟な調整、経費計上の広さ、スムーズな資産承継といった多くのメリットがあります。
一方で、設立・維持コストの発生や、売却時の税制、厳しい融資基準といった注意点やデメリットも確実に存在します。

どちらが最善の道なのかは、お客様の「現在の所得」「お持ちの資産」「将来の事業計画」、そして「ご家族への想い」によって一人ひとり全く異なります。決まった正解があるわけではありません。

不動産の取引は、これからの人生をより豊かにしていくための大切な一歩です。

だからこそ、表面的な情報だけで焦って決めてしまう必要はありません。「法人で買う」「個人のまま進める」、あるいは「今はまだ買わずに様子を見る」という選択肢も含め、お客様にとって何が一番の安心と幸せにつながるのかをじっくり見極めていきましょう。

不動産売却や購入をご検討の方へ

東広島・広島での不動産売却・購入なら、地域密着の不動産本舗にお任せください。
大切な資産のご売却も、理想の暮らしを叶える住まいのご購入も、お客様が心から納得できるお取引を全力でサポートします。

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記事を書いた人

葛城 正臣
葛城 正臣
東広島市で産まれ、前職から不動産業に携わって約25年、お仕事を通じて地域の皆様に育てていただきました。業者都合の提案ではなく、お客様にとって本当に価値のあることは何かを考え、本物の価値を提供することが、私の使命と感じています。お困り事、お悩み事がございましたら、まずは当社にお気軽にご相談下さい。