不動産コラム Column

離婚時の家のローンはどうなる?状況別に家のローンの処理方法をご紹介

 

こんにちは不動産本舗です。

人生には節目があり、やむなく離婚という選択肢をとることもあります。

厚生労働省の発表によると、『令和2年では、「年齢別婚姻率の合計(平均して一生の間に結婚する回数)」に対す る「年齢別離婚率の合計(平均して一生の間に離婚する回数)」の割合は、男女とも 0.32 となる』つまり、結婚した3組に1組が離婚していることになります。

当社にもここ1-2年で「離婚するので家を売却したいのですが査定していただけますか」「ローンが残っていますが離婚することになりました、売却できるでしょうか」といったご相談が増えています。

ご夫婦で築いた大きな財産である不動産は慎重に扱う必要がありますし、そのために事前にポイントを知っておくことでやりとりがスムーズに進みます。ポジティブなテーマではありませんが、現実を知っていただくことから始め、新たな人生へのスタートの準備をしていただきたいと思います。

離婚時に家のローンが残っている場合、何からすればよいのでしょう
4つの確認すべきことからご紹介しましょう。

離婚時に家のローンが残っている!4つの確認すべきことをご紹介

家の名義人は誰になっているのか確認する

まず1番に行いたいことは、「家の名義は誰になっているか」の確認です。つまり、家のローンの支払義務が誰にあるかを確認します。
例えば、妻が売却したくても、夫だけの名義で夫は売却したくない場合、これは売却ができません。
ここで押さえておきたいポイントは、家を売却する場合、売却できるのは名義人であることです。

家のローンの残債額を確認する

次に、家のローンがいくら残っているのか、を確認します。

確認方法は
①郵送される残高証明書
②当初もらっている返済予定表
③借入金融機関のウェブサイト
④借入金融期間への確認です。
残債額を調べることで、売却するべきか住み続けるべきかの判断材料になります。

ここで押さえておきたいポイントは、「売却時にローンを完済しないと手放すことは出来ない」ということです。

現在の家の価値を確認する

売却するべきか住み続けるべきかの判断材料の一つ「家の価値がいくらくらいになるのか」ということがあります。
当社にも査定のご依頼をいただきます。その際は、家を拝見してお話をうかがいます。
築年数だけでははかれないところなどを確認します。築浅でも手荒く住んできた家と、年数は経っているけれど丁寧に住んでおられる家では異なります。
近年は築5年以内の物件を売却希望される方が増えています。
大抵の場合、ローンはほとんど残っています。

ここで押さえておきたいポイントは、いくら築浅物件でも、一度人の手に渡った家は価値が落ちるということです。

よっぽど希少価値な物件や土地に価値がない限り、「あまり住んでいないから」といって、新築時の価格で売れることはありません。
結果、家の価値は落ち、ローンがほとんど残っていると、売りたい金額との乖離が生まれるということになります。
また、「いくらで売れるかだけが知りたい」という机上査定をご希望される方もおられますが、売り出し価格を決める実際のところは「近年の市場動向」と「お客様がいくらで売却したいか(いくらローンが残っているか)」この2つが主になります。
仮に査定をしてもらったからといって、「査定価格が売れる価格ではない」ということです。

参考:『査定価格と売り出し価格の違い

家のローンを組んだ銀行に連絡する

大前提として、離婚によって住宅ローンの契約者が家を出て行くことになれば、多くの場合で契約違反となります。
それを黙っておくのも契約違反です。方向性がかたまったあたりで金融機関へ相談にいきましょう。
金融機関が知りたいことは「家をどうしていくか」ということです。
離婚に伴い、売却するのか、または誰が住み続けるのかということです。

つまり、これから先の住宅ローンの返済予定がどうなるかが重点となります。

 

家のローンは共有財産?財産分与の対象になる?

離婚時の家のローンは共有財産なのでしょうか?
離婚後誰が支払うべきなのでしょうか?

家のローンの返済義務は名義人である

仮に、実際に住む人が名義人以外であったとしても、家のローンの返済義務は名義人に課せられます
また、名義人が住まなくなると、金融機関によっては、一括返済を求められる場合もありますので、注意が必要です。

【状況別】離婚時の家のローンの処理方法をご紹介

離婚時の家のローンをどうしていくか、これは、離婚後家をどのように扱うか、つまり誰が住むのかまたは誰も住まないのか、によって方法が異なります。

どちらかがそのまま住む(夫の場合)

家のローンの名義人が夫で、そのまま夫が住む場合。
これはもっともシンプルです。そのまま夫がローンを支払っていきます。
但し、連帯保証や連帯債務で妻も負担をしている場合に、夫の支払いが滞ったときには、妻に返済の義務が生じます。
離婚したことを理由に連帯保証人を外すことは出来ませんが、金融機関により、または夫の収入によっては、妻が連帯保証人から外れることを了承される場合もあります。
その場合別の連帯保証人や一時金の入金その他が求められる場合もあります。

どちらかがそのまま住む(妻の場合)

家のローンの名義人が妻で、そのまま妻が住む場合には夫の場合と同様、特に手続きはなく、そのまま妻がローンを支払っていきます。
家のローンの名義人が夫で妻が住み続ける場合、夫から妻への名義人の変更を申し出ることになります。
但しその場合は、妻の経済力が問われることがあります。
名義を変更せず、夫が支払続ける場合、本当にローン完済まで夫が支払続けてくれるのかどうか、という不安を抱えて住み続けることになります。
また、
名義人が住まなくなると、金融機関によっては、一括返済を求められる場合もありますので、注意が必要です。

お互いに再婚の可能性もある中、住まない家のローンを払い続けるのか、また、夫名義の家に住み続けるのか、という問題が続くことになります。

 

家を売却する(アンダーローンの場合)

家を売却して、ローンの残債より高い金額で売却できた場合、手元に残ったお金は共有財産として財産分与することが一般的です。

 

家を売却する(オーバーローンの場合)

オーバーローンとは、ローンの残債より低い金額で売却した場合です。

多くの場合ここが問題になってきます。
売却時、ローンの残債を一括返済しないと、登記が移せませんので、足りない差額を賄う手持ちのお金が必要ということです。
手持ちのお金がない場合、不足分を新しいローンで賄おうと思っても、保証会社がそれを認めない場合があります。
結果、抵当権が抹消できないため売却することが出来ず、結果住み続けるという選択肢を取らざるを得ないことになります。

家を売却する(連帯保証人の場合)

例えば夫が債務者で妻が連帯保証人の場合、売却する場合は、夫一人の意向で出来ますので、売却してローンを完済すれば問題はクリアになります。
ちなみに、連帯保証とは夫婦の一方が債務者として借りた住宅ローンを、もう一方が保証することです。
この場合、連帯保証人は債務者がなんらかの理由で返済できなくなったときに、その返済を肩代わりしなければなりません。

家を売却する(連帯債務の場合)

連帯債務は夫婦の一方が主たる債務者となり、もう一方が連帯債務者となります。
夫も妻も債務者として、ローンの返済義務を負うことになります。
この場合、一方だけの意向で売却はできません。

家を売却する(ペアローンの場合)

「ペアローン」は夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約し、お互いに連帯保証人となるという方法です。
例えば離婚時に夫の単独名義へ変更することも出来ますが、金融機関によっては、新たに審査を受けたり、妻のローンを一括返済を求められるなどもあります。

まとめ

いかがでしたか?家を購入される際に「離婚」を念頭に置かれる方はいないでしょう

不動産会社としても、幸せいっぱいな時に水をさすようなことも言えません。ただ、「連帯保証人とは」「連帯債務とは」「共有名義とは」をきちんと理解・納得した上で購入していただくことをお勧めします。離婚は別としても、一生に一度の大きな決断をされるわけですから、きちんと理解していただきたいと思います。

さて次回は、不動産を購入する際にかかる「仲介手数料」についてお話しする予定です。
仲介手数料とは?いくらかかるの?一律なの?といった疑問にお答えします。
次回もどうぞ参考にしてください。

※それぞれの条件などは金融機関によっても異なります。住宅ローンを組んだ金融機関へご確認ください。

 

 

 

 

 

記事を書いた人

葛城 正臣
葛城 正臣
東広島市で産まれ、前職から不動産業に携わって約25年、お仕事を通じて地域の皆様に育てていただきました。業者都合の提案ではなく、お客様にとって本当に価値のあることは何かを考え、本物の価値を提供することが、私の使命と感じています。お困り事、お悩み事がございましたら、まずは当社にお気軽にご相談下さい。