不動産コラム Column

東広島の地元プロが解説!不動産を貸す場合に知っておくべきこと

 

不動産を貸すことの検証

前回は不動産を売却した方が良い人 という観点でお伝えしました。

今回は不動産の中でも「家」を貸した方がよい方の特長をお伝えいたします。

1)「家」を貸した方がよい人

具体的にどのような人が家を貸した方が良い人なのでしょう?

  • 将来的に使用する予定がある

-転勤や長期出張などで家を空けたり、将来的に子供が使う可能性がある等の場合など

  • 長期的に緩やかに収入を得たい
  • 当面まとまったお金が必要ではない
  • 家に思い入れが強く踏ん切りがつかない
  • 売却するにはあまり価値がないが借りる人はいる

-過疎地域などで、売れそうにないが、周辺に賃貸物件がなく、借り手がみつかりやすいなど

  • 何らかの事情で相続が完了できない

-親族間で相続についてなかなか意見がまとまらないなど

  • 将来的に物件の価値があがると思われる場合

-数年後に大型商業施設や道路やインターなどの建設予定があり、今より数年後に売却
した方が明らかに価値が上がると思われる場合など

  • 自分で家を直すことができる

-自分が大工などで建設業者などへ依頼することがなく家の修繕ができるなど

いかがでしょうか? それでは次に、貸す場合はどういった方法があるのでしょう?

2)「家」を貸す方法

  • 不動産会社へ仲介を依頼する
  • 不動産会社へ借り上げを依頼する
  • 個人間で貸し借りする

というこの3つの方法があります。

それでは、それぞれのメリット・デメリットについてお話ししましょう。

3)「家」を貸す時のメリット・デメリット

「不動産会社に仲介を依頼するとき」のメリット

  • 広く募集ができる
  • 家賃保証会社へ入居者の審査を依頼することができる
  • 法律に則った契約ができる
  • トラブル時に対応してもらえる
  • 家賃の管理をしてもらえる(未収時のトラブル)
  • 修繕などの手配をしてもらえる
  • 直接借主とやりとりしなくてよい
  • 客観的な立場でのアドバイスをもらえる


    「不動産会社に仲介を依頼するとき」のデメリット

  • 仲介手数料がかかる(賃料の1ヶ月分+消費税)

「不動産会社へ借り上げを依頼するとき」のメリット

  • 契約期間中は安定した賃収が得られる
  • 借主にとっての貸主は不動産会社になるので、1回ごとの契約に係わらない
    ので煩わしさがない

「不動産会社へ借り上げを依頼するとき」のデメリット

  • 賃収より低い価格で借上げられる
  • 借上げしている不動産会社が倒産した際

「個人間で貸し借りするとき」のメリット

  • 仲介手数料、管理料がかからない

「個人間で貸し借りするとき」のデメリット

  • 入居者の審査が客観的にできない
  • 貸すことのリスクが予見できないため、知り合い同士でもトラブルに
    なりやすい
  • 家賃を回収や督促、入居者からの窓口、修繕の手配などを自分で行わなければならない
  • 最新の法律やガイドラインに従った契約が出来にくい
  • ポータルサイトなどの掲載を使った募集ができない

それぞれのメリット・デメリットがありますので、それぞれを知った上で
お決めいただくことをお勧めします。

さて、それでは続いて、貸す際にかかる費用には何があるのでしょう?

 4)「家」を貸す際にかかる費用

  ①貸す状態にするまでのリフォーム費用やハウスクリーニング費用

※通常、不動産会社へ仲介や管理を依頼した場合、募集にかかる広告費用、契約書の作成費用は
不動産会社の負担で行います。

   ②不動産業者に支払う仲介手数料

賃貸借契約で不動産業者の頂くことのできる仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で、貸主、借主
から合わせて賃料の1か月分(消費税別)と定められています。
慣習上、借主が全額支払うことが多いですが、最近では貸主が全額、または半額を負担することも
増えてきました。

それでは続いて、貸す際の注意点、なかでもよく勘違いされていること、についてお話ししま
しょう。

 5)「家」」貸す際の注意点(よく勘違いされていること)

①貸主の皆さんが勘違いされていることの最も多いのが、退去要件です。
通常の建物賃貸借契約の場合、一度契約を締結すると入居者が希望するまでは、退去してもらうことは
できません。
たとえ契約期間が満了しても同様です。後々自分で使用する可能性がある場合は「定期建物賃貸借契約」
で締結していただくことをお勧めします。

普通建物賃貸借契約でも退去してもらうことのでききるケースを数例挙げておきます。

  • 賃料を長く、または度々滞納されている。
  • 無断で転貸するなど、明らかに契約に背いている。
  • 近隣や建物に対して、明らかに迷惑行為を行っている。
  • 建物が老朽化し、明らかに維持が困難である。
  • 公共買収など、貸主の個人的な理由に基づかない立ち退きを要請されている。

など・・・

ただし、これらを借主に伝えても、退去に応じてもらえない場合、弁護士さんや、自治体の相談窓口に
相談されることをお勧めします。

入居者に落ち度は無いけど、貸主の都合で退去してもらいたい場合は、誠意を持って事情を話し、承諾
してもらいましょう。
今までずっとルールを守り、自分の物件に住み続けてもらった方々にお願いするのですから、次の引っ
越し先を探すに困らないよう、ある程度余裕を持った期間を設定し、または、金銭的にも少し援助して
差し上げるのも良いと思います。
詳しくは、管理している不動産業者さんや、弁護士さんにご相談下さい。

②修繕費は、入居者の故意過失によらない場合、貸主の負担となります。
例えば、畳の表替え、クロスの張替え、床の傷など、通常の生活をしていて発生する汚れや傷は入居者
に負担してもらえないということです。
契約書に記載して、借主が納得していても、退去の時に否定された場合は、負担してもらえません。
借地借家法により、「借主に一方的に不利な条項は無効」ということになっているからです。
また、長年不動産業に携わってきて思いますが、荒く汚く家を使う人は、あまりお金に余裕がない方が
多いです。
明らかに入居者に過失があったとして、法的に貸主の言い分が通ったとしても、無いところからは取れ
ません。
それよりも、こちらですべてを負担して、いち早く良い人に入居していただいた方が得策ですよね。

上記のようなことから、古い家、または家賃が安い物件を貸す場合などは修繕費の方が年間の賃料を上
回るというケースがよくありますので、注意が必要です。

6)不動産会社を選ぶコツは?

1.管理物件や事務所がきれいに掃除されている不動産業者を選ぶ

賃貸物件の収入源は家賃です。入居者に快適に住んでいただくことで安定的な事業となります。
そこをちゃんと理解している不動産業者の物件は必ず掃除が行き届いています。
掃除は不動産業者が直接的にやらないことが多いです。
大家さんに対してちゃんと管理費などの提案できているか、清掃業者に対してちゃんと指導できている
か、物件の美しさはこれらの能力が発揮された結果です。

管理物件がきれいに掃除されているかどうかをチェックした後は、事務所の整理整頓です。
大切な資産を管理する者として、また、入居者の個人情報のようなセンシティブなものを扱う者として
は、これは欠かせません。

不動産業者を選ぶうえで最も重要なのは、管理物件や事務所がきれいに清掃、整理整頓されているかど
うかです。

2.スタッフの表情が明るい不動産業者を選ぶ。

不動産業者のお店や事務所に入ったとき、そこにいるスタッフの表情が明るいかどうかをチェックしま
しょう。
スタッフの表情が暗い会社は、ノルマがきつい、人間関係がうまくいっていないなどの理由があるはず
です。
そうなると、離職率が上がり、担当者がころころ変わるので物件の継続的管理という面で支障が出てき
ます。
また、貸主とのパートナーシップもそこで中断します。社長がどれだけ知識が豊富で仕事ができても、
実際に現場でお客様に接するのはスタッフです。スタッフが職場に満足していなければ、お客様に対す
る満足なサービスは実現しません。

広告をバンバン打って、ノルマでスタッフの尻を叩いて入居をたくさん獲得しても、まずはちゃんと選
ばれた良い入居者に住んでもらい、入所者とスタッフとの良好な関係が続かない限りは、入居率が安定
せず、賃貸経営はうまくいきません。

7) 家賃の決め方

賃貸物件の価格は売買物件に比べ、決定しやすいです。
近隣の相場がタイムリーに確認し易いからです。
賃貸物件の近隣相場は、インターネットのポータルサイトを確認するとすぐにわかります。
まずは、不動産業者を選んだらご自分の希望を伝えてみましょう。率直な意見が聞けると思います。
家賃は高いに越したことはありませんが、入居が決まらないのであれば意味がありません。

例えば、一戸建て借家の場合、9万円なら良い借り手がいるにも関わらず、10万円に固執してしまい、
2か月間借り手がいなかった場合、1年目の損失は、9万円×2か月ー差額1万円×10か月=8万円
です。
長い目で考えて月一万円の損失だとしても、長くきれいに住んでいただける保証はどこにもありません。
そういう意味で貸主には柔軟性が必要です。
ただし、集合住宅の場合は、他の入居者との関連性を考慮して、安易な値引きはしない方が良いでしょう。

8)入居者の選定の仕方

一度貸したらなかなかこちらからは退去していただくことができないことは前述のとおりです。
同じ住んでいただくなら、ちゃんと家賃を払ってくれて、周りともトラブルなく、きれいに住んでいただ
ける方に貸したいですよね。
では、どうすれば、入居者の選定ができるかどうかをお伝えします。

(1)賃貸保証会社の審査にかける

家賃やローン、公共料金を滞納したことがある方、または頻繁にされる方は、賃貸保証会社の審査が否決
されることが多いです。
不動産業者に賃貸物件を預けた場合、最近では殆ど、賃貸保証会社を通して契約することになります。
保証会社を通して契約すると、万一滞納があった場合でも、保証会社が家賃を保証してくれるので安心です。
詳しくは担当の不動産業者にご確認下さい。

(2)入居後トラブルになりやすい入居者の特徴

  • 契約直前になって、賃料交渉や設備の条件を出してくる。
  • 他の物件を見ず、やたら早く契約したがる。
  • 「住んでやる」という態度
  • 音に対して非常に敏感(特に集合住宅の場合は注意)
  • 身寄りが無い
  • 職に就いていないなど、安定した収入が無い。
  • 入れ墨など、見た目が周りから怖がられる。
  • 貸主が不動産業者を仲介に入れるのを拒む。

 

 

以上、今回は、不動産を貸すことについての検証をしてみました。
不動産賃貸借契約は貸し手と借り手の信頼関係がベースになります。
信頼できる入居者と良好な関係を末永く続けられることを祈念しております。

 

記事を書いた人

葛城 正臣
葛城 正臣
東広島市で産まれ、前職から不動産業に携わって約25年、お仕事を通じて地域の皆様に育てていただきました。業者都合の提案ではなく、お客様にとって本当に価値のあることは何かを考え、本物の価値を提供することが、私の使命と感じています。お困り事、お悩み事がございましたら、まずは当社にお気軽にご相談下さい。