不動産コラム Column

【丸わかり】実家の売却について手順やトラブル、活用方法をご紹介

みなさんこんにちは不動産本舗です。
当社には、日々お客様よりお困りごとが寄せられます。その中でも大変多いのが「実家の売却」のご相談です。
今回は、
どこから手をつけたらよいのか」「何に気を付ければよいのか」をお話ししようと思います。

実家を売却するための基本的な手順をご紹介

まずは、実家を売却するための基本的な手順についてご紹介します。
ここではご両親がすでに亡くなられ、空家になった実家を売却する場合についてご説明いたします。

まずは実家が誰の名義になっているかを確認してください。
調べる方法は、不動産会社、司法書士などに依頼しても可能ですが、法務局へ行けば自分でも調べることができます。

ご自分の両親の名義になっていることを確認したら、次は登記名義を相続人に変更します。
死亡届を出したからと言って登記名義が自動的に変更されるわけではありませんので、相続人自身で手続きすることとなります。

相続名義人を変更するためには、遺言書または遺産分割協議書が必要となります。
遺産分割協議書とは、どの財産を誰が相続するかを相続人の間で話し合い、後にトラブルにならないようにするための書類です。

通常は司法書士へ依頼して作成することとなります。
具体的な内容は司法書士からのアドバイスを受け作成しますが、そこで重要になるのが遺言書です。
ご両親が遺言書を残しておられるかどうかをご確認ください。

遺言書を確認する

遺言書には、遺産の分割方法など具体的に書かれていることが多いです。
すべてを
完璧に網羅している遺言書であれば、別途遺産分割協議書の作成は不要になります。
但し、個人で遺言書を作成された時にありがちなのが、「土地や建物については明記したが、道路や水路の持ち分については明記がなかった」というような漏れが発生することです。

この場合、せっかく遺言書を作成されても、不足の部分については別途遺産分割協議書の作成が必要になってきます。
このようなことから、遺言書や遺産分割協議書については専門家である司法書士へご相談され作成されることをお勧めしております。

土地の境界線を明確にする〝土地家屋調査士″

実家が古いと境界や敷地の面積が不明確な場合があります。
売却が決まってから隣家との境界のトラブルが発覚してしまうと思わぬ時間がかかり、最悪売却できないということにもなりかねません。

また、登記面積と実測の面積が大きく異なった場合、売れなくなるということもあります。
法務局に保存されている古い公図や地積測量図が、現状と大きく異なっていることや、登記簿上の面積があきらかに間違っていることがあります。

境界確定・測量についての専門家は土地家屋調査士です。(※参照)
隣家とのスムーズな話し合いの為にも、第三者として土地家屋調査士に入ってもらい、早めに明確にしておきましょう。

私達が土地家屋調査士を紹介する際に、もっとも気に掛けていることは「人柄」です。
どこまでが 自分の土地なのかということは、非常に繊細な事柄です。

例えば、双方の亡くなられた親御さんが「うちの塀の外側が境界だ」と言っておられたというようなことが、よくあります。
こういう時に、人柄のよい土地家屋調査士が入ると、上手くまとめてくれているケースがあります。
ご両親が大切にしてこられた実家を、次の方へトラブルなくきれいに引き継ぐためにも土地家屋調査士の存在は大切なのです。

土地家屋調査士は、あまり馴染みのない存在だと思いますので、選定は地元の不動産会社へご相談されることをお勧めします。

※参照
土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記の専門家のことであり、依頼を受けて、土地や建物の所在・形状・利用状況などを調査・測量して、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などを行います。職務上請求を行うことができる八士業の一つです。

遺品整理など実家内を片付ける

空き家の多くはご両親がお亡くなりになられた時の状態のままで放置されてしまっております。
ご両親や自分たちの子供のころの物が多く残されており、頭では早く処分した方がよいということがわかっていても、どこかにこれがなくなると思い出まで消えてしまうような気持ちになり、処分できずにこられたのではないでしょうか。

しかし、このような状態を内覧した買主は以下のような気持ちになるのだと思います。

  1. 他人の生活感がそのまま残っているため自分の新たな生活のイメージがしにくい。
  2. 長年放置され続けた家は傷みが大きく見えない不具合がたくさんあるのではないかと思ってしまう。
  3. 売主と同じように寂しい気持ちになってしまうので、購入するのが申し訳ないという気持ちになってしまう。

これでは売れる物件も売れませんよね。

みなさんの気持ちはわかりますが、遺品などの家財を処分するのは、出来るだけ売りに出す前に行っておいた方がよいと思います。
但し、兄弟姉妹と話し合ってから処分をしないと何でもないことでトラブルの元になったり、1つ1つ注意して要不要をチェックしないと、重要な書類や高価な物を捨ててしまったりすることがありますので、ご注意ください。

うっかり捨ててしまって後で困るものとしては

  • 権利証(登記識別情報通知書)
  • 家を建てた時や土地を購入した時の契約書、領収証、建築関係の書類
    (家を建てた時の契約書や領収証は譲渡所得税を計算する時に有利に働く可能性があります。)

などがあります。

大切な物を取り出した後は、不要物を廃棄しなければなりません。
方法としてはご自分で処分場へ持ち込むこと、また、産廃業者へ依頼することもできます。

自分では価値がないと思っているものも、以外にそうでないこともあるので、リサイクルショップなどの買い取り査定にきてもらうのも良いと思います。
仏壇などは、お寺に来てきていただき拝んでもらった後に仏壇屋や専門業者に有料で引き取ってもらうことが多いようです。

最初から専門業者へ依頼すれば寺を手配してくれることもあります。
お墓の移設や処分は、時間がかかりますので、できるだけ早く手配をしましょう。
墓石店に聞くとスムーズに行えます。
家財をすべて片付けたあとは、建物や設備を細かく下記のような項目をチェックしてみましょう。

  • 天井に雨漏りの染みがないか
  • 床はフワフワしていないか
  • 配水管から水が漏れていないか
  • 配水管につまりはないか
  • エアコンや給湯器などは作動しているか
  • 瓦はずれていないか
  • シロアリなどの害虫被害はないか
  • 壁に亀裂が入っていないか       など

これらを正しく伝えずに売却すると、契約不適合責任を問われることになりますので注意が必要です。
不動産会社が持っている、物件状況告知書(不備点検表)などを利用しチェックすることをお勧めします。

不動産会社に相談する

実家のある場所が、ご自分が住んでおられる場所とは離れていることがよくあります。

お住まいの近くの大手不動産会社という選択肢もありますが、私は、実家のある場所に根付いた地元の不動産会社をお勧めします。

なぜなら、例えばあなたがお住まいの近くの担当者へお話をされても、実際に売却に携わるのは実家のある最寄りの支店の担当者になるので、伝えたことがストレートに伝わらないことがあります。
また、支店は大抵地方の大都市にあり、実家のあるエリアのことを担当者が詳しいとは限りません。

不動産業の特性として、隣町の相場や細かい場所のトレンドなどがわかりにくいということがあります。
せっかくあなたが家や場所の良さを伝えたとしても、なかなか伝わりにくいので、極端に高く値段付けをしたり、お勧めの仕方がトンチンカンであったりすることが多く、なかなか売れていない事例が見受けられます。

出来れば、地元の知り合いがおられれば、どの不動産会社が良いか聞いてみる、または、インターネットなどで感じのよさそうな不動産会社を探してみてください。
離れた場所から、実家売却のための様々な手配を依頼することになるため、あなたの手足となって、地元に精通した、近所に配慮出来る地域に密着した不動産会社を選ぶ必要があります。

実家を売却する時に必要な事柄は以下のように多くありますが、地元に密着した不動産会社であれば、これらをワンストップで依頼できます。
地域に密着した不動産会社なら、日頃から地元チームで仕事をしているので、きっと安くて良い業者さんを紹介してくれると思います。

【実家を売却する時の手配事項】

  • 不用品処分
  • 土地家屋調査士
  • 解体業者
  • 鍵交換
  • ちょっとした修繕
  • 家財(古物)買い取り
  • 水道、電気、ガスなどの修理
  • 庭木の剪定や伐採、除草
  • 外壁、屋根の修繕や塗装
  • クロスや床などの内装
  • ハウスクリーニング
  • ガラス交換
  • シロアリ、蜂の巣などの害虫駆除
  • 一部家財などの運送
  • 不要になった車の処分
  • 仏壇の撤去              など

実家の売却にかかる費用や税金とは

さて、実家の売却にはどのような費用にはどのようなものがあるでしょうか。

  • 境界確定費用・・隣地との境界線をはっきりさせるための費用。土地家屋調査士が行います。
  • 建物の修繕費・・買主との交渉により、引き渡しまでに売主負担で建物の修繕を行う場合にかかる費用。 例:屋根や温水器の修理 等
  • ゴミの処分費・・空き家などを売却する場合 等
  • 未登記建物の登記費用・・建物はあるが登記されていない場合に必要。買主が金融機関の融資を受ける場合には必須。 未登記建物は、古い建物によく見られます。
  • 建物滅失登記費用・・以前はあったがすでに解体しており、実際には存在しない建物が登記のみ残っている場合があります。買主に不安を与えないためにも、土地家屋調査士に委任してその登記を抹消しましょう。
  • 抵当権抹消手続費用・・売主が家を購入した時に融資を受けている場合、抵当権が登記されています。
    ローンの残債が残っている場合はもちろん、完済している場合でも登記上抵当権が残っていると引き渡しが出来ないため、抵当権抹消の手続きが必要です。
  • 相続登記費用・・何年も前に相続が発生しているにも関わらず、不動産の登記は以前の所有者のままになっている場合があります。登記名義を現在の所有者へ変更しようとする場合、相続人全員で「遺産分割協議書」によって、相続登記を行う必要があります。
    遺産分割協議書が作成されていない場合は、一から作成することになり、相当な時間を要しますので注意が必要です。
  • 仲介手数料・・仲介不動産会社へ支払う費用です。手数料額は売買代金によって異なります。

 仲介手数料(法定手数料)の計算式は以下を参照ください。

※報酬額には別途消費税がかかります。

 

但し、昨今の空家問題対策として、低廉な中古住宅や土地の売買を促進する為に、過分に掛かりがちな調査等の費用を盛り込めるよう、平成30年1月1日より報酬額の改正が行われました。
尚、この報酬額は売主にのみ適用されますので、買主は上記計算式のままです。
​該当不動産の売主の方は下記をご参照下さい。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000249.html

 不動産売却にかかる税金は以下のようなものがあります。

実家の売却でよくある!?トラブルや後悔とは

長く不動産業界にいますと、残念ながらトラブルも見聞きすることがあります。
みなさんにはそのような思いをしていただきたくないので、いくつかご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。

税金が高額になってしまった

不動産を売却した時は譲渡所得に対する税金(所得税)がかかります。
但し、居住用不動産についてはいくつかの特例があり、節税ができる場合があります。

ただ、あなたが売却したからといって、自動的にその方法が教えてもらえるわけではありません。
ご自身でインターネット等で調べるか、税理士・税務署・不動産会社などに事前に相談されることをお勧めします。

No.3223 譲渡所得の特別控除の種類|国税庁 (nta.go.jp)

固定資産税が増額されてしまった

実家が老朽化して近所に迷惑をかけている場合、事前に解体して更地で売却する場合もあるでしょう。
その場合に注意しておく点は、家屋を解体し更地にした場合、固定資産税の特例が適用されなくなり、最大で6倍の課税をされることとなりますので、解体や売却のタイミングなどを不動産会社へご相談ください。

兄弟間で相続トラブルが起きてしまった

売却するためには、相続人全員の合意が必要です。
その合意形成の段階で、兄弟間のトラブルになることがあります。

兄弟間のトラブルは以下のようなことがあります。

  • 実家を売却するかどうかで揉めた
  • 実家を売却するか貸すかで揉めた
  • 売価、費用、税金のことを共有していなかったため売却後に揉めた
  • 不要物と思って処分した後に、捨ててもらいたくなかったと兄弟に責められた
  • 事前に話をしていなかったために、売却した後に得たお金の分割方法で揉めた
  • 兄弟は別の不動産会社へ依頼しており、どちらの不動産会社にするかで揉めた

これらのようなトラブルを避けるためにも、しっかりと兄弟間で話し合う必要がありますが、不明な事や不安な事があれば事前に不動産会社へご相談ください。

不動産会社選びに失敗してしまっ

実家の売却において、不動産会社選びはもっとも大事な作業です。
みなさんにはぜひ失敗していただきたくないので、「不動産会社がお勧めする不動産会社選びのコツ」をお伝えしたいと思います。

地域に精通した不動産会社である

不動産は、地球上に二つと同じものがありません。不動産は、その場所から動くことはないので「不動産」なのです。
それだけに、不動産が存在する地域について精通した不動産会社をお勧めします。
会社の信頼性や、営業力なども大切ですが、地域や不動産そのものに関する歴史や特性、またそこに関わる人間関係を知っていることは更に重要です。

不動産会社のホームページが充実している

不動産会社のホームページを見てみると、その会社の特性が見えてきます。
賃貸・売買どちらが得意なのか、お客様に対する姿勢、どんなスタッフがいるか、その会社の歴史などです。
例えば、ホームページへ取引事例の掲載があれば、自分が依頼しようと思っていることのイメージがつきやすいですね。
これらのことに注意して、その不動産会社が自分に合うかどうかを見定めてから、依頼をするようにしましょう。

専門知識に長けた不動産会社である

一口に不動産会社と言っても、いろいろな種類の不動産会社があります。例えば飲食店には、イタリアン・中華・和食などがあるのと同じです。

アパートの仲介を専門でやっている会社へ、土地や建物の売買の相談をしても的確なアドバイスは返ってきません。
不動産会社には得意とする分野がありますので、依頼する分野の専門知識に長けた不動産会社を選ぶことが重要です。

専門知識があるかどうかは、「宅地建物取引士や不動産コンサルティングマスターなど、何の専門資格を保有しているのか」「どんな取引事例があるのか」「どの分野の商品を扱っているか」が判断材料に出来ます。

社風が良いかどうか

不動産会社の雰囲気も会社選びには大変重要になってきます。
店の清掃や整理整頓、スタッフの清潔感や表情、電話応対での言葉遣いなどは、その会社を表しています。

例えばデスクの上の書類が乱雑になっている会社の情報管理はどうでしょうか?
店頭の観葉植物が枯れたままになっている会社のスタッフはお客様を大切に思っているでしょうか?

大切な不動産を預ける相手ですので、最後まで安心して気持ちよく任せられる会社を選びたいですね。

まとめ

実家を売却されるとき、とても寂しい気持ちになります。

実家は自分が生まれ育った家なので 、ご家族やご友人との子供の頃からの思い出が沢山つまった場所であり、その先の人生を形成した大切な場所です。大切な場所だからこそ、トラブルや不快感無く、さらに言えば、これからその場所で新たな人生をスタートする人、地域の皆さんに喜んでもらい、気持ちよくお別れしたいですよね。

そのためにも、あなたの気持ちを汲んで実家を大切に扱ってくれる不動産業者を選びましょう。
私達不動産本舗は、皆さんが感じられる寂しい思いに寄り添い、安心してご実家とのお別れができるよう、全力でサポートさせていただきます。

さて、次回は「家の売却で後悔したくない」についてお話したいと思います。

誰だって一生に一度あるかないかの「家の売却」で後悔はしたくありません。
後悔しないためのコツをお話ししたいと思います。
次回もぜひご覧ください。

 

記事を書いた人

葛城 正臣
葛城 正臣
東広島市で産まれ、前職から不動産業に携わって約25年、お仕事を通じて地域の皆様に育てていただきました。業者都合の提案ではなく、お客様にとって本当に価値のあることは何かを考え、本物の価値を提供することが、私の使命と感じています。お困り事、お悩み事がございましたら、まずは当社にお気軽にご相談下さい。