【税理士監修】不動産売却でかかる税金?種類や計算方法、使える特例まで徹底解説
目次
不動産の売却にかかる税金を一覧でチェックしよう
不動産売却には大きな金額が動きますが、その中には税金がかかるものがあります。事前に把握しておくと売却がスムーズに進みます。今回は個人の売主にかかる税金をチェックしていきます。
今回のコラムは、株式会社不動産本舗の顧問税理士 中国税理士会西条支部所属 髙盛大輔さんに監修いただきました。
※当記事は2024年1月現在の情報を記載しております。
不動産売却の手続きに必要な税金をご紹介
気になる税金・・・ここでは、不動産売却における手続きの際にかかる税金の種類と概要をご紹介します。
印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書をはじめとした「課税文書」と呼ばれる特定の書面にかかる税金のことです。
印紙税額は書面に記載された契約金額によって決められています。納める金額については下の表のとおりです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え 1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え 5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
2024年3月31日まで特例で軽減税率が適用され、上の表の一番右側の軽減税率欄の税額に引き下げられています。
数年間、この特例が適用されており、今のところ、この特例を取り止める話は聞いておりませんので来年度も適用がありそうです。
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置についてはこちらを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
登録免許税
不動産の売買契約を締結し、売買対象の不動産を登記する場合、登録免許税がかかります。
但し、通常、登録免許税を負担するのは登記を受ける側、つまり買主が負担することになりますので、今回は説明を省きます。
消費税
個人的な住まいの売買には、消費税はかかりません。しかし、借家やアパート、事業用ビルなど事業の一環で所有している不動産を売却する場合には消費税がかかる可能性があります。そのため、ご自身のケースを良く知ることが必要です。
建物の譲渡価格が1,000万円以上の場合、2年先に消費税の納税義務が発生します。
土地の売却には消費税がかかりません。
不動産の売却で譲渡益(売却益)が出たときに必要な税金をご紹介
不動産を売却して利益=譲渡益(売却益)が出ると税金がかかります。
譲渡益は、売却価格から、売却する土地建物を購入した価格と売却するためにかかった費用を差し引いた金額です。譲渡益に対して、所得税や住民税などが課税されます。
譲渡益 = 売却価格 ― (不動産の購入価格 + 売却時の費用)
また、売却した際は翌年の1年間の国民健康保険・後期高齢者医療制度の保険料が上がる可能性がありますのでご注意ください。
会社員が加入する健康保険、公務員が加入する共済保険には影響はありません。
所得税・住民税
譲渡益に対する税金は、課税される所得金額に税率をかけて計算します。
その税率は、建物の所有期間で異なります。
売った年の1月1日現在で5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、適用する税率が異なります。税率は以下の通りです。
課税される所得 = 売却価格 ― (建物の購入価格+売却費用)
区分 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
購入価格とは、買った当時の金額を指します。建物に関しては減価償却があり、年々価値が減少します。減価償却の耐用年数は建物の構造によって異なります。
自己用住宅の場合の減価償却は、事業用(法定耐用年数)の1.5倍となります。
例えば木造の建物なら、事業用は22年ですが、同じ建物でもマイホームでは33年です。土地は年数が経過しても価値が目減りしないという考え方のため、減価償却はありません。
売却費用とは、仲介手数料、収入印紙代などです。他にも売却にかかる費用があれば計上できる可能性があるので、税理士や税務署にご相談ください。例えば修繕や解体のための費用、相続登記の費用は経費として認められることがあります。
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的とした税金で2037年までの期間、支払いが義務付けられているものです。復興特別所得税は所得税率×2.1%として算出されます。
不動産売却の税金を支払うタイミング・納税方法とは
所得税の申告納付期限は、売却した翌年の3月15日です。確定申告をして納めます。振替納税制度の手続きをされた方は、4月20日前後に口座からの引き落としになります。復興特別所得税は、所得税と一緒に計算されます。
住民税は、翌年の6月頃にお住まいの市町村から通知納付書が届きます。納付方法は各市町村にご確認ください。
国民健康保険、後期高齢者医療制度の保健料は、翌年7月頃に通知がきて納付します。
不動産売却の税金はいくら?具体的な計算方法をご紹介
次に、不動産売却を行った際の税額の計算方法について説明します。
印紙税の計算方法
印紙税額は書面に記載された契約金額によって決められています。2024年3月31日までの特例として軽減税率が適用されています。
※不動産売買契約書の印紙税の軽減措置についてはこちらを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
売買契約時に、書面に収入印紙を貼り、消印をすることで納税したと見なされます。
収入印紙を貼っていない、消印の押し忘れがあった場合には過怠税が課され、最大約3倍支払うこととなるので忘れずに貼りましょう。電子契約の場合は、契約書が紙の書面ではないので収入印紙は不要です。印紙税はかかりませので、コストを削減できます。
所得税と住民税の計算方法
建物の所有期間が5年超の場合は、所得税は売却益に対して15.315%、住民税は5%です。5年以下の場合は、所得税は30.63%、住民税が9%となります。
不動産売却にかかる税金を節税する方法をご紹介
「節税する方法」といいましたが、基本的には不動産売却時において節税する方法はありません。ただし、次のような特例が用意されています。
居住用財産の3,000万円特別控除の特例
売却で得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円の控除を受けられる特別控除です。居住用財産と定義される自らの住まいを目的とした物件が対象で、賃貸用(投資用)のマンションやアパート、更地、一定の期間以上居住していない住宅などは含まれません。
自分の住まいを売却した時に、売却益から最大3,000万円の控除が受けられます。
例えば、購入時の価値が2,000万円、これが3,000万円で売れた場合、売却益が1,000万円発生します。
特別控除3,000万円以下なので税金はかかりません。
軽減税率の特例
所有期間が10年を超えているものの場合、譲渡所得税の税率が軽減されます。この特例が適用されると、売却益6,000万円以下の場合は、所得税が10.21%、住民税が4%となります。6,000万円を超える部分は、長期譲渡所得に対する税金の税率と同様です。
居住用財産の買換えの特例
所有期間と居住期間がその年の1月1日時点で10年を超えているといった、一定の要件を満たして自宅を買い替える場合、売却時の譲渡益に対する税金の納税を将来に繰り延べられる特例です。
この特例は2023年12月31日までにマイホームを売却した場合に限ります。
特定のマイホームを買い換えたときの特例はこちらを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
相続した居住用の空き家を3年以内で売却する場合、一定の要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除が適用されます。
空き家の放置を防ぐことが目的とする特例です。1981(昭和56年)年5月31日以前に建築された建物は、耐震リフォームするか取り壊して更地にする必要があります。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例についてはこちらを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
譲渡所得がマイナスになった場合の特例
居住用の不動産を売却して譲渡所得がマイナスとなった場合は、一定の要件を満たした場合に「損益通算」という制度を利用できます。この制度は2023年12月31日までに売却した場合に適用があります。
損益通算とは、その他の所得から住居に関わる赤字と相殺できるというものです。損益通算を利用できれば、納税額の負担を軽減できます。
※土地や建物を売ったとき課税譲渡所得金額の計算についてはこちらを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
広島・東広島で不動産を売却したときの税金をご紹介
ここまで不動産を売却したときの税金について概要を説明してきました。最後に具体的な事例を紹介します。
購入価格や売却価格の条件
- 購入価格3,000万円
- 売却価格2,000万円
- 減価償却2,500万円
- 仲介手数料72万円
- 印紙税1万円
ケース1:築30年の今住んでいる木造の自宅を売却する場合
2,000万円 ― (3,000万円―2,500万円+72万円+1万円)=1,427万円
売却益1,427万円となります。
3,000万円の特別控除を適用すると、税金はかかりません。
ケース2:住まなくなって3年を経過した、築30年の木造の家を売却する場合
相続した居住用の空き家を3年以内で売却する場合、一定の要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除が適用されますが、3年を経過しているため、特別控除の適用外となります。
売却益1,427万円に対して
所得税 1,427万円×15.315%=2,185,450円
住民税 1,427万円×5%=713,500円
納付税額は合計2,898,950円となります。
不動産の売却や税金について相談できる場所とは
国税庁のホームページに詳しく紹介されています。専門用語もあり、要件が複雑だったり、自分がどのケースに当てはまるのか分からない場合があったりすることもあります。
最寄りの税務署、もしくは税理士に相談されると安心です。
広島・東広島で不動産売却に関する税金の相談は不動産本舗へ
不動産本舗は、広島・東広島での不動産売却を多数扱っています。関係する各種分野の専門家と提携していますので、窓口となって皆さまの不安や疑問におこたえすることができます。また当社では、買い取った物件は、その年度の確定申告や税理士費用も当社が負担します。不動産売却に関わることを一括してお任せいただくことができます。
不動産本舗では、お客様の売却時の不安を出来る限り解消し、不動産売却がより豊かな人生のきっかけとなるようにお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
不動産売却は物件の状態もお一人ずつの状況も異なります。税金のことを知らないばかりに「払っていなかった」「払い過ぎてしまった」「期限が過ぎしまい対処できなかった」では、ご本人も後悔されることと思います。
納得のいく不動産売却を実現していただくために、不動産売却のプロである不動産会社に相談されることをお勧めします。
記事を書いた人
- 東広島市で産まれ、前職から不動産業に携わって約25年、お仕事を通じて地域の皆様に育てていただきました。業者都合の提案ではなく、お客様にとって本当に価値のあることは何かを考え、本物の価値を提供することが、私の使命と感じています。お困り事、お悩み事がございましたら、まずは当社にお気軽にご相談下さい。
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